■ 試合開始前チェルシー、2012-13シーズン初の公式戦は、FAカップ覇者として臨むコミュニティーシールド。対戦相手はリーグ覇者のマンチェスター・シティ。マリンは怪我のためベンチ入りせず。GKはチェフ、最終ラインは右からイバノビッチ、ダビドルイス、テリー、アシュリーコール。中盤二枚にミケル、ランパード。前線右にラミレス、左にアザール、トップ下にマタ。トーレス1トップの4-2-3-1で挑んだ。■ 前半戦開始早々、アクティブに出たのはチェルシー。両SBに高い位置を取らせ、相手陣内でボールを回した。しかし前線にボールが収まらず、いつの間にか主導権は相手チームへ。押される展開となった。
2分に与えたFK、チェフがナイスセーブで凌ぎ、7分のCKは、イバノビッチが先に触って弾いた。チェルシーのセットプレー時の守備は、役割がはっきりしていて良さそうだった。
15分にはランパードがかわされアグエロに突破を許し、ナスリに詰められるも、チェフが阻んだ。
17分のCKも、チェフの好判断でスムーズに逃れた。アシュリーコールとアザールの守備連携の難なのか、自分たちの左サイドを使われるシーンが目に付いた。
19分、アザールがいい持出しを見せるも、ヒールパスをし損ない、大きく足を滑らせた。チェルシーのファーストシュートは24分、マタ→ラミレスと繋いで最後はランパード。GKにがっちりキャッチされたものの、やっと一つの攻撃が、フィニッシュまで辿りついたシーンだった。これで勢いが生まれたのか、27分、ショートコーナーからミケルのミドル。
28分にはアザールもきれいなミドルシュートを放った。
39分、先制はチェルシー。アシュリーコールがボール奪取からそのままドリブルで持ち上がり、中に入れたクロスは相手に弾かれるもラミレスの足元へ。ラミレスがボールタッチで相手を翻弄しトーレスへ。うまいトラップでいい位置にボールを置いたトーレス、左足で浮かせてのシュート。ゴールマウスへと吸い込まれた。スコアを1-0としたチェルシーに、自業自得の災難が訪れたのはほんの数分後。
41分、イバノビッチのスライディングタックルが思いのほか深く入ってしまう。このプレーに主審はレッドカードを提示、イバノビッチは退場。チェルシーは残り50分強を、10人で戦うこととなった。右SBにはラミレスが入った。退場が場を熱くさせたのか、球際の激しい試合となっていった。アディショナルタイムは長めの3分。チェルシー果敢に前へと出たが、48分、いい流れのところでいきなりホイッスル。この審判、大丈夫?。1-0のまま前半は終了した。■ 後半戦 後半開始時、チェルシーの選手交代はなし。相手は一人、入替えた。
46分、トーレスの突破、最後は自分でフィニッシュ。追加点とはならなかったがCKを獲得した。数的不利お構いなしに勝ち越し点を狙いにいったチェルシーだったが、53分、ミルナーのクロスに対応したテリー、クリアしたものの距離はわずか、ヤヤトゥレに決められ失点。スコアを1-1とされた。追いついたシティが数的有利を活かしての波状攻撃、チェルシーは防戦一方。
59分、こちらの守備の準備よりも早くテベスが放ったミドルは、相手の勝ち越しゴールとなった。それまで両FWに対してほぼ完璧だったダビドルイスも、気もちが切れていたのか、ずいぶんと軽かった。
65分、ナスリの侵入を許し、あっさりと3点目を献上。スコアは1-3、10人対11人、本職ではないラミレスが務める最終ライン。もう勝敗は決まったかに思われた。
70分、チェルシーベンチが動いた。アザールを下げてバートランドを投入。
74分には早くも二枚目の交代カード。マタに代えてスタリッジをピッチに送り込んだ。ミケルがワンボランチ、ランパードトップ下、前線右にスタリッジ、左にバートランド、4-1-3-1のような布陣となった。この采配が功を奏したのは、80分。スタリッジのシュートはGKに弾かれるも、誰よりも早くゴール前へと詰めたのはバートランド。気合で押し込み、1点差に迫った。まだ勝敗はわからない。試合の様相も激変、シティのリードも安全圏とは言えなくなった。
88分のピンチはチェフの好セーブで凌ぎ、89分のピンチには相手が見事に外してくれた。アディショナルタイムは4分。攻撃的な位置のダビドルイスに、戻る気配はまったくない。
91分、チェルシーのCKには、チェフも最前線まで上がった。終盤の健闘むなしく、スコアは2-3で試合終了。コミュニティーシールドを制したのはシティ。チェルシーは公式戦初戦を、残念な形で終えることとなった。■ 試合終了後「途上のチェルシーと仕上がっているシティなら、シティが勝つのは順当である」「イバノビッチのあのタックルはいただけない」「華のない試合」という感想を持ったサッカーファンが多いのかもしれないが、個人的には見ごたえのある90分だった。特に70分のバートランド投入以降は、ピッチ内のやみくもな情熱に、すっかり心を奪われてしまった。この試合、一年をとおして戦っていくリーグ戦とは違い、一発勝負である。数的不利だから負けても仕方ない、と試合終了後に思うのは自由だが、試合中にそうはいかない。トーレスのゴールで先制したものの、10人での戦いを強いられ3失点、それでも勝ちにいかなければならない。この状況においてバートランド、スタリッジのカードを切ったディマッテイオ。この采配がズバリと当たった。途中投入の二人がゴールを奪い、試合が一段とヒートアップしたのだから、見事というほかない。ダビドルイスは、南米人相手なら本気を出す、というルールなのか、アグエロやテベスにはかなり厳しくいっていた。プレシーズンの散漫なプレーが気になっていたのだが、さすがに本番はシビアに挑んでいた。トーレスのゴールは気もちが良かった。トラップが決まったおかげで、すんなりシュートできていた。余裕すらあった。後半は最終ラインまで戻って守備をしたりと、心身共に、試合に入り込めていたようだった。バートランドからは、情熱があふれていた。ゴールを決めて即、早く始めようとGKからボールを奪おうとしたシーンには胸を打たれた。ロンドンオリンピックのメンバーとしても活躍し、今度のA代表にも呼ばれている。周囲の状況と成長のタイミングが一致すると、こんなに伸びるものかと感心する。アザールは、本人が思い描くようには出来ていないとはいえ、徐々に慣れてきているなという印象。ボールの受け方や持ち方はうまく、目を奪われた。スペースに流れる動きやファーストトラップは、マタに似ているというか、近い感じがした。同型のシューズを履いてるせいか、マタだと思って目で追っていた選手が実はアザールだったりと、遠目には判断つきかねるシーンもあった(自分がちゃんと見てないだけかもしれないが)。イバノビッチのファウルは残念だったが、本人が一番わかっているのだろう。想像以上に、両足でいってしまったことも。周りの選手たちと違い、彼はあまり審判に詰めよっていなかった。週中に代表戦を挟んで、次の試合は一週間後の、8月19日。リーグ開幕戦、DWスタジアムにてウィガンと対戦する。イバノビッチは今回のレッドカードによる出場停止かと思いきや、FAのルールが変更されていたらしく(?)、ウィガン戦には出場可能とのこと。
3試合の出場停止は、次節以降(8月26日以降)に適用されるらしい。また、ラミレスやミケル、ランパード、バートランド、アシュリーコールに科せられたイエローカードについても、リーグ戦へは持ち越されないそうだ。気もちを切り替え、万全の状態で臨んでほしい。余談。主審のケビン・フレンド、決して間違った笛ではなかったが、大きな試合をさばくにふさわしい審判ではなかったように思う。選手がジャッジに不満を抱くシーンも多く見られた。レッドは妥当だったが、イエロー合計8枚は、ちょっと気前が良すぎる。気になって少しググってみると、つい先日、日本サッカー協会の「審判員交流研修プログラム」により招聘され、Jリーグで笛を吹いていたことがわかった。英国でものすごく期待され、そこそこ評価されている審判なのだとは思うが、個人的には、もう少し威厳があるというか、ベテランの審判にさばいてもらいたかった。これも余談。開幕節はなんとかなるとはいえ、イバノビッチのバックアッパーがいない。やはり右SBの獲得は急務だと思う。フェレイラでお茶をにごすのではなく・・・
MATCH REPORT: CHELSEA 2 MANCHESTER CITY 3
City overpower 10-man Chelsea
[動画]Man City 3-2 Chelsea Official Goals & Highlights
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