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Channel: スポーツナビ+ タグ:ディマッティオ
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チェルシー 2011-12シーズン総括 ※監督別データ

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 ■ はじめに 2011-12シーズンのチェルシーについて、個人別データを取りまとめた。この数字を元に、評価や今後への展望を延べたいと思う。■ 監督別データ ビラスボアス( ~2012.3.3) 成績・勝率 ディマッティオ(2012.3.6~ ) 成績・勝率 2011-12シーズン通算成績・勝率ディマッティオ就任以降のチェルシーは、まるで生まれ変わったかのような印象を受けた。しかしリーグ戦に関しては、実はそれほど変わっていない(むしろ悪くなった)ということが、このデータに表れている。リーグ戦での勝率は、ビラスボアス48%、ディマッティオ45%である。ディマッティオの率いた終盤は過密日程だったから仕方がない、と思いがちだが、ビラスボアス期もなんだかんだと週に二試合をこなしている。考慮するほどの差はない。ここでいう勝率とは、勝ち点3を得たかのパーセンテージだ。勝ち点1(ドロー)については無視したデータである。では、勝ち点3に勝ち点1(ドロー)も含めて、勝ち点の合計を指揮した試合日数で割った、一試合あたりの獲得勝ち点はどのくらいなのだろうか。ビラスボアスは1.7点、ディマッティオは1.63点である。勝率も、平均獲得勝ち点数も、上回ったのはビラスボアス。リーグ戦においては、ビラスボアス期のほうが実は好成績だったのだ。ディマッティオ期のアウェー・アーセナル戦、ホーム・ニューカッスル戦、アウェー・リバプール戦は、言葉は悪いがメンバーを落として臨んだ。ここで勝ち点を得られなかったことが、大きく響いた形となっている。なのになぜ、ディマッティオ就任以降のチェルシーがこんなに評価されているのか。それは、CLとFAカップで素晴らしい成績をおさめたからにほかならない。勝ち進まない限り次の試合はないのだから、当たり前といえばそのとおりなのだが、ディマッティオのFAカップでの勝率は、脅威の100%。4戦全勝、一度も負けていない。ビラスボアスも66%と決して悪い成績ではないが、3戦2勝1分。2部相当のチーム相手のドローゲームは痛く、彼への評価をうんと下げてしまった。 CLについても、大きな差がついた。ビラスボアスは7戦3勝2分2敗、勝率43%である。ディマッティオは6戦4勝2分0敗、勝率66%。分けた二試合のうちの一試合は決勝・バイエルン戦。120分間で決着がつかずのドローゲームではあるが、PK戦を制し優勝したのだから、分けではなく勝利としてカウントしてもいいくらいである。■ ディマッティオについて 2011-12シーズン当初、ビラスボアスの隣で静かに微笑んでいたディマッティオが、シーズン終盤にはチェルシーを率いて二冠を達成しているのだから、本人のコメントにもあるとおり、「サッカー、そして人生は時に予測不能でおかしなことが起こるもの」だ。あっという間にチェルシーを建て直したことには驚かされた。奇跡と、夢のようなタイトルをチームにもたらしたことにも。ときに大胆な采配や、その冷静さと度胸、まず「守備ありき」の戦術には非常に感心した。ディマッティオがウェストブロムを率いていた時代に、チェルシーと対戦した試合を覚えている。このときの自分の記憶は「守備が崩壊し、ピッチサイドで呆然と立ち尽くすディマッティオ」だ。2010年8月14日に行われたこの試合は、ドログバのハットトリックを含む6-0で、チェルシーが圧勝している。 2部のチームを昇格させプレミアリーグでも健闘したものの、成績不振を理由に翌年解任されたのだそうだ。ディマッティオの守備を整備する手腕は、CLバルサ戦のニ試合やバイエルン戦で実証済、誰もが認めるところである。その影に隠れて目立たないかもしれないが、攻撃についても、彼はそつなく建て直している。守備に重きをおいた試合では、少ないチャンスをものにすべく、セットプレーとカウンターを徹底した。ドログバの強さやラミレスのスピード、ランパードの正確さを最大限に活かしたカウンター攻撃には、迫力とチェルシーらしさが戻ってきていた。ディマッティオ就任以降、セットプレーに対する意識も、明らかに変わった。「これで点を取る」という気合や覚悟が伝わってくるようになった。 CKひとつとっても、やわらかいアバウトなボールに皆がなんとなく合わせるのではなく、誰がニアに、誰がファーに逃げ、誰が誰のスクリーンになるか等、随所に工夫をこらすようになった。いくつものパターンを試し、かなりの練習を積んだのだろう。キッカーの蹴るボールスピードすらも変わったように思う。スペースがあるオープンな試合では、前線4人にある程度の自由を与えた。マタをトップ下に置いたことによって、両SBが高い位置を取らなくとも攻撃の形が作れるようになった。人数過多になりすぎず、ボールの出しどころに迷うシーンも格段と減った。スムーズにボールが動くようになり、「シュートを打てば大きく枠外、折り返せども誰もいない」的ながっかりプレーも一掃された。どこかで読んだのだが、元々は攻撃的なサッカーを志向している監督なのだそうだ。カウンターとセットプレーをおろそかにせず、攻撃の形をさらに増やしていくことが、彼の今後の課題となるだろう。冷蔵庫の残り物でチャッチャと作った料理は、びっくりするほどおいしかった。今度は旬の食材をマーケットで仕入れるところから始まっている。そこを不安に思わなくもないが、やはり期待のほうが大きい。何名もの選手が入れ替わったNEWチェルシー、ディマッティオはどう腕を振るうのか。楽しみにしたい。余談。スパーズの次期監督に、ビラスボアスが就任した。テクニカルエリアに陣取る彼の姿が、またプレミアで見られるのかと思うと、なんだか感慨深い。野心を持った、熱心な監督であることはよく知っている。スパーズは若く、パワーのあるチームなので、合うだろうなとも思う。チェルシーの順位に関与しない程度に、応援したい。

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